2011年/スペイン
監督 ジャウマ・バラゲロ
出演 ルイス・トサル
マルタ・エトゥラ
アルベルト・サン・フランほか
どーもどーも
今日紹介する映画はコレ!
【あらすじ】
バルセロナのとあるマンションの住み込み管理人セサル(ルイス・トサル)は、住人のクララ(マルタ・エトゥラ)に異様な感情を抱いていた。自由に合鍵を使用できるのをいいことに彼女の部屋に忍び込み、ベッドの下で息をひそめては眠るクララの体を毎晩慰め続けるセサル。日ごとに行動がエスカレートしていく彼は、彼女の歯ブラシを使用したり、化粧品に薬品を混ぜたり、虫の幼虫をさまざまな場所に忍ばせたりするなど奇行を続け……。
【感想】
本日ご紹介致しまする映画は!!
「お巡りさんコイツです。」
日頃気になる「あの娘」のお部屋へ夜な夜な侵入&添い寝でGO!?気づけば香水歯ブラシ化粧水!!ソイツはぜ~んぶ俺が主成分120%配合!!
今ゲスの極みおハゲを極めた究極の完全変態生物がアナタのお部屋に呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃ~ん!?
【スリーピングタイト 白肌の美女の異常な夜】!!
いやー凄い。実に本作は凄まじい・・・・
久しぶりにここまでえげつねぇサスペンスにお目に掛かれるとは。。。
本作はあの【REC-レック】シリーズの産みの親であり、スペインが生んだ異端児(?)ジャウマ・バラゲロ監督のサイコサスペンス・・・
わたしゃあてっきり【REC-レック】だけかと思っていたが、他にもいろんな映画を撮ってるらしく(全部ホラーだが)ただね。本作がその【REC-レック】の監督最新作と大々的に宣伝文句に使われているのがヒジョーに勿体ない。
だってホラ、みなさん。【REC-レック】の監督と聞いて何を想像する?
POV(主観ショット)?ゾンビ系?それとも一時話題になった一発屋?・・・
現在【REC-レック4】も絶賛レンタル中だが、やはり世間で聞くのは
「シリーズを追うごとにつまらなくなっている。」
これに尽きると思うのよ(一応新作も見た意見w)
勿体ない実に勿体ない。
本作はそんなPOV型スパニッシュホラーの革命児ジャウマ・バラゲロが挑む「正統派」本格サスペンスであり(本作に限ったことではないが)完全に自身のハリウッドデビュー作を軽く凌駕している、とんでねぇ映画なのだ。(ちなみにもう一つの宣伝文句「エロス」も期待しない方がいい笑)
【特徴 その①】
ドスケベおじさん、ベッド下より降臨す!?
主人公サヘル。またの名を完全変態生物。
コヤツはとんでもない変態島から生まれたような「ド」はドーナツのドではないド変態である。
彼の仕事はマンションの管理人。住人にはいつもニッコリ優しく答え、面倒な要望にも応じてくれる。それゆえ住人からの信頼も厚い。
―――――がそれは「表」の顔であり、彼の真の姿は
管理人の立場を利用し、好意を寄せるある一人の女性住人の部屋のカギを使い、彼女の期待前を狙いベッド下で待機、その後帰宅した彼女が眠りについたのを確認後、ベッド下から「ぬっ」の起き上がるとクロロホルムでさらに深い眠りに陥れ一緒に布団に入り添い寝をする・・・・
妖怪添い寝おやじか(笑)
もちろん添い寝「以外」にも、彼女の使用済み歯ブラシを己の口でゴシゴシ、彼女の使う化粧水に己の体液体臭汚物配合物を注射針で注入、その他いろいろ・・・平気でしてしまう、まさにイジリ―岡田も納得のドスケベ変態野郎なのだ。
【特徴 その②】
腐りきった精神
表面上だけの説明はこんな感じ。全く救いようのない、文字通りポリスメンに一発職質牢屋行き確定の女子からしたらサイテー、最悪の主人公であろう。
サイテーなのは性癖だけではない。
彼は人生に生きる「目的」を見いだせない、彼女家族子持ちなしの恐らく40歳前後・・・
次第に募るやりきれない怒り、憎しみ、世の中への不満・・・
俺の人生一体どこで狂ったんだ?アイツが憎い、世の中が憎い・・・!!!
そんな時彼はある一つの「生きる目的」を思いつく。
「そうだ、今にも幸せいっぱいそうな顔してる、あの娘の人生をメチャクチャにしてやろう!」
凄いですね~、心の底からのクソ野郎発言(笑)
でもホントに思っちゃってるんだから凄い。
そこで思いついたのがこの奇行。
彼は非常に幼稚であり、しかし非常に内向きで気が弱い。ゆえにチカラの弱い女性・子どもにしか牙を向けられないヘタレ小心者なのだ。
もう今この瞬間彼の好感度はマントルを突き破って地球の裏側まで下がっていることだろう。
ここまで思いっきりがよいと逆に清々しくも感じてしまうのだが笑
【特徴 その③】
リアルに描く犯罪者の心理
だが今こうして他人事のように読んでいるそこの♂よ
ここまで読んでみてふと思わんかね?彼の性格が非常に生々しく、リアリズムに富んでいることを・・・
そして気づかんかね?こんな性格の人間が意外にも世の中たくさん歩き回っていることを・・・
そうなのだ。本作がコワイのはまさに「これ」なのだ。
彼のような人間は世の中にたくさんいるのだ。あなたのヒジョーに身近な生活圏の中にだって潜んでいるかもしれない。
彼のような性格をもつ人間は確実に存在する。彼はそんな彼らの超えていない「一線」を踏み出してしまったに過ぎない、彼らの、いやもしかしたら私、キミかもしれない。我々のどこか持つ内向きな一面の延長線上に彼は存在するのだ。
つまり、誰にでも彼のように「一線」を超え狂ってしまう可能性を秘めていると言ってもいい。(決して100%持っていないとは誰も言い切れないであろう)
この「身近に潜む恐怖」こそ、私は最も怖い存在だと思う。「シャイニング」で家族に命を狙われる恐怖、「ハロウィン」で誰かも分からない、でもなんだかつけられているような、思い過ごしかしら?ストーキングの恐怖。本作にも同様の怖さがある。そしてヒジョーにサイコな「一級品」サスペンスに仕上がっている。
人間は元から変態だ。それは生物学的に見てもはっきり証明されている。我々はそういう生き物なのだ。このだれにでもある「変態」の一面を彼はただ自分をコントロールできないまで広げてしまったに過ぎない。
本作にはそんな彼の心情がリアルに、そして細かく描かれている。
決して感情移入してしまうわけではないが、思わず「いるよね~こういうヤツ。」と妙に納得出来てしまうのだ。そしてその瞬間、突然自分の身の周りに起こった出来事のような、身近にある恐怖に襲われる。本作はまさに「秀作」である。
【特徴 その④】
犯罪助長映画?
「秀作」なのは登場人物の描き方だけではない。
中盤に差し掛かり起こるある「緊急事態」が非常に観ていてソワソワしてしまうほどの「緊迫感」
そしてあろうことかこの時だけは何故かドスケベ主人公を応援したくなる不思議。
なんだろう、こんな経験ないのに・・・私は何故か親に黙って学校を休み2階に住むばあさんに気づかれまいと息を殺してなんとか午前中だけはやり過ごそうとした、あの中2の夏を思い出した(笑)
物語の「伏線」もヒジョーによく練られている。(添い寝だけに笑)そして実にこじつけがましい展開もない。ここら辺も大変よく出来ていると思う。
そして主人公もドスケベであるが決してバカではない。つねに事前準備は怠らない、突然のハプニングにも実に冷静に行動する。意外とアタマは切れるようだ。(毛はないが)
ただ違和感のない物語の運び方ではあるが、ここで最大の「問題点」がある。
どうもこの映画の世界は、主人公にあまりに都合のいい世界になってしまっている、ということだ。
詳しくはネタバレになるので言えないが、彼の行動全てが実にいいように、いいように事を運んでいってしまうのだ。つまり本作はバッドエンドではない。(いやそれは主人公からしてなのだが・・)
ここが最大の評価の別れ目であり、女性陣が胸糞悪く感じる最大の要因となろう。
この展開はおそらくハリウッドでは不可能だったと思う。いや日本でも絶対にありえない。
まるで犯罪者を擁護しているかにも見えてしまうトコロが非常に問題である。。。。
ただ私個人の意見としては、「ホラー」「サスペンス」映画で最後にいやぁ~な感情で締めくくられるのは(内容は別として)肯定派なので本作のような、主人公のような「サイテー」なエンドは嫌いではない。ただやっぱり内容がなぁ~笑
決して胸を張っておススメは出来ないが、何も語らずにほおっておくには非常に勿体ない、そんな映画である。
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